タイトル
第55巻第4号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

井上 博雅
鹿児島大学呼吸器内科

この秋に発刊予定の55巻4号は,1編の委員会報告,5編の症例報告,第29回肺癌学会ワークショップからの報告,第29回肺がん集検セミナーからの寄稿,及び短報1編を掲載しています.委員会報告は,日本肺癌学会と日本放射線腫瘍学会が共同で作成した「肺癌放射線治療計画のためのリンパ節部位のCTアトラス」であり,日常診療・臨床試験における肺癌放射線治療計画均質化のために作成されたものです.症例報告では,クリゾチニブの副作用や耐性のためにアレクチニブに変更し奏効したALK転座肺癌症例が2編報告されています.これらは,ALK阻害薬の副作用プロファイルの機序,両薬剤のALKに対する親和性や選択性の差異,ALK以外の分子に対する阻害作用の違いなどを考える上で興味深い症例だと思います.短報では,化学療法中に脳空気塞栓を発症した小細胞肺癌例が呈示されています.肺癌の診療に関連した脳空気塞栓症としてCTガイド下生検や気管支鏡検査に伴うものが知られていますが,化学療法に伴う例は極めて稀ではないでしょうか.また,ワークショップや集検セミナーからの計9編は,これらの内容を誌面で確認できるメリットは大きいと思います.寄稿いただいた著者の先生方に感謝いたします.本編集後記を執筆中,巷では,抗PD-1抗体を始めとする免疫療法の持続効果,さらに、免疫療法の効果予測マーカーや抗PD-1抗体に伴う肺障害の画像(N Engl J Med 2015, 373:288)などが話題となっています.今後,実臨床への応用が進み,多くの進行肺癌患者に恩恵がもたらされることを期待したい.と思います.最後に,本誌に投稿していただいた方々,査読いただいた先生方に改めて御礼申し上げます.

肺癌 55 (4):321─321,2015

ページの先頭へ