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第55巻第6号目次 Japanese/English

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─ 委員会報告 ─

日本肺癌学会・日本臨床細胞学会 2学会合同委員会報告:肺がん検診における喀痰細胞診の診断一致性と標準化

佐藤 雅美1, 柴 光年1, 齋藤 泰紀1, 佐藤 之俊1, 渋谷 潔1, 土田 敬明1, 中山 富雄1, 宝来 威1, 池田 徳彦2, 河原 栄2, 三浦 弘之2, 中嶋 隆太郎2, 田口 明美2, 矢羽田 一信2, 島垣 二佳子2, 神尾 淳子2, 長尾 緑2, 三宅 真司2, 下川 幸弘2, 田中 良太2, 遠藤 千顕1
1日本肺癌学会集団検診委員会喀痰細胞診による肺癌検診小委員会, 2日本臨床細胞学会肺癌検診ワーキンググループ

はじめに.喀痰細胞診による肺癌発見率を比較する場合の前提は,同一標本に対する判定は判定者が異なっても大きく異ならないことであるが,喀痰細胞診の検査者間判定一致性の検討はこれまで我が国では詳細に検討されてこなかった.方法.過去10年間に我が国の肺がん検診で用いられた喀痰細胞診症例150例を喀痰細胞診の経験豊富な6検診実施施設より集積した.各症例を6施設にて再判定し,判定一致例を標準細胞症例と定義した.喀痰細胞診に対する経験値が様々な検査者計64名によって標準細胞を判定した.判定者間一致性の検討には種々のカッパ統計量が用いられた.結果.全150例に対する6施設間の判定一致率は高く,Fleissのカッパ係数は0.5であった.26症例が標準細胞症例として同定された.喀痰細胞診に対する経験の浅い判定者間の判定一致性は経験豊富な者の一致性に比較して有意に低かった.また,経験の浅い者は有意に過小評価した.まとめ.喀痰細胞診の経験豊富な検査者間の判定一致性は高く,経験の浅い者は過小評価する傾向があるので,肺がん検診における喀痰細胞診の判定は経験豊富な施設,判定者が行うべきである.
索引用語:喀痰細胞診, 精度管理, 検査者間一致性, カッパ統計量, Fleissのカッパ係数

肺癌 55 (6):859─865,2015

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