タイトル
第55巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

初回治療におけるアファチニブの有用性

岩間 映二1,2, 岡本 勇2
1九州大学大学院医学研究院九州連携臨床腫瘍学講座, 2九州大学病院呼吸器科

本邦においてはEGFR遺伝子変異陽性肺癌に対してゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブの3剤のEGFR-TKIsの使用が可能である.アファチニブはHERファミリー(EGFR,HER2,HER4)への不可逆的な結合を特徴とし,良好な抗腫瘍効果が得られるが,皮疹,爪囲炎,下痢といった副作用の頻度が高く,毒性管理が重要となる.未治療EGFR遺伝子変異陽性肺癌症例を対象としたアファチニブとプラチナ併用化学療法の効果を比較する第III相臨床試験が2つ行われ(LUX-Lung 3,LUX-Lung 6),両試験において,アファチニブ群の無増悪生存期間における優越性が確認された.この点は第一世代EGFR-TKIs(ゲフィチニブ,エルロチニブ)と同様であるが,エクソン19欠失変異症例においてプラチナ併用化学療法と比して有意な生存期間延長効果を認めており,この点は第一世代EGFR-TKIsとは一線を画するところである.第一世代EGFR-TKIsにおける獲得耐性機序はT790Mの発現が主であることが報告されているが,アファチニブについては明らかにされておらず今後の検討を要する.これまでの臨床試験や分子生物学的研究の結果を踏まえ,初回治療におけるアファチニブの有用性について概説を行う.
索引用語:アファチニブ, EGFR, エクソン19欠失変異, L858R, Digital PCR

肺癌 55 (6):866─870,2015

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