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第55巻第6号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対するゲフィチニブ単剤療法とゲフィチニブ+プラチナ併用療法途中挿入との比較第III相試験

神田 慎太郎1
1国立がん研究センター中央病院呼吸器内科

EGFR遺伝子変異陽性肺癌のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)耐性化を予防・克服するため,新世代薬の開発や他の分子標的治療薬との併用などが試みられているが,実臨床で用いることのできる治療はまだない.われわれは,EGFR-TKIの奏効時点でプラチナ併用化学療法を挿入して行うことで耐性化が予防でき,より長い無増悪生存が得られるのではないかと仮説を立て,EGFR遺伝子変異陽性肺癌患者に対する初回治療として,(1)ゲフィチニブ8週間内服の後,(2)シスプラチン/ドセタキセル3サイクルを実施,(3)その後ゲフィチニブ内服を病勢増悪まで行う治療の第II相試験を行った.この試験では,33人を対象として,無増悪生存期間中央値19.5ヶ月,生存期間中央値48.0ヶ月と良好な結果が得られ,治療方略が有望であることが示された.2015年末に,WJOG/JCOG共同試験として,このゲフィチニブ奏効時点でプラチナ併用療法を挿入する治療と標準治療であるゲフィチニブ単剤治療との比較第III相試験が開始される予定である.ここでは,EGFR遺伝子変異陽性肺癌とEGFR-TKIに関する最近の知見を踏まえ,この共同試験の設計と展望について考える.
索引用語:EGFR遺伝子変異, EGFRチロシンキナーゼ阻害薬, ゲフィチニブ, 化学療法, 併用療法

肺癌 55 (6):879─884,2015

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