第55巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 総説 ─
三次元治療計画と線量分割法
原田 英幸11静岡がんセンター放射線治療科
2000年代に入り,従来の二次元治療計画から,三次元治療計画への移行がすすんだ.線量計算にあたっては,不均質補正を行うことで,従来の体内を水に置き換える方法と比べてより正確に計算ができるようになった.リスク臓器の線量評価も可能となり,胸部への根治照射の適応を判断するのに役立っている.一方で,従来は照射野を適切に設定していれば,担当医や施設による違いがでにくかったが,線量処方の仕方次第で10%以上の線量の違いが起きうるようになっている.そのため,治療計画の標準化は喫緊の課題である.線量分割法については,局所進行非小細胞肺癌では,通常分割照射で60~66 Gy程度が標準線量といえ,複数の臨床試験結果の積み重ねがある.70 Gyを超える標準線量以上の高線量照射の有効性は証明されていない.今後は,患者ごとのリスクに応じた強度の治療を行う個別化治療の開発が求められている.
索引用語:線量分割, 三次元治療計画
肺癌 55 (6):913─917,2015