タイトル
第55巻第6号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (589K)
Article in Japanese

─ 総説 ─

肺がんに対する体幹部定位放射線治療の標準化に向けて

鬼丸 力也1
1北海道大学大学院医学研究科病態情報学講座放射線医学分野

I期非小細胞肺癌に対する体幹部定位放射線治療(Stereotactic body radiotherapy,SBRT)は,従来の放射線治療と比較して良好な成績が多数報告され,手術不能I期非小細胞肺癌に対する標準治療の1つと見なされている.手術可能例に対する適応拡大が興味の持たれるところであるが,海外で行われた体幹部定位放射線治療と手術のランダム化比較試験はいずれも患者登録が進まずに中止となった.世界的に行われるようになった体幹部定位放射線治療であるが,日本と他国ではその方法に違いが見られるようになっている.1回線量や回数が異なる放射線治療の生物学的効果を比較するために,Linear Quadraticモデル(LQモデル)と呼ばれる数式が用いられている.高線量の領域ではLQモデルの当てはまりは良くないとされ,様々なモデルが提案されているが決定的なものはなく,また,LQモデルで十分とする意見もあり,混沌とした状況である.モデルの確立も重要であるが,臨床研究での安全性の確立も必要である.
索引用語:体幹部定位放射線治療, I期非小細胞肺癌, LQモデル

肺癌 55 (6):918─923,2015

ページの先頭へ