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第55巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

EGFR-TKI耐性に対する治療法の開発と現状

仁保 誠治1
1国立がんセンター東病院呼吸器内科

上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の獲得耐性を克服するため,第三世代のEGFR-TKI,MET阻害薬,HSP90阻害薬,mTOR阻害薬などの臨床開発が行われている.第三世代のEGFR-TKIであるAZD9291やCO-1686の第I相試験では,T790M陽性のEGFR-TKI耐性症例に対する奏効割合が60%前後である一方,皮疹,下痢などの毒性は第一,第二世代のEGFR-TKIより軽い.EGFR抗体であるセツキシマブとアファチニブの第Ib相試験では,奏効割合がT790M陽性群で32%,陰性群で25%であり,T790Mの有無に関わらず有効性が期待されるが,皮疹や下痢などの毒性が強い.MET阻害薬であるINC280の第Ib/II相試験ではMET高発現群において21%(38例中8例)の奏効割合が報告されている.今後,耐性機序に基づいた治療開発がさらに進むことが予想され,EGFR-TKI治療中に増悪した場合のsecond biopsyと遺伝子解析の重要性が増している.
索引用語:T790M, 第三世代EGFR-TKI, AZD9291, CO-1686

肺癌 55 (6):932─935,2015

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