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第55巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

実臨床でのALK阻害剤投与―症例選択と副作用マネージメント―

里内 美弥子1
1兵庫県立がんセンター呼吸器内科

本邦ではALK阻害剤としてクリゾチニブが2012年3月,アレクチニブは2014年7月に承認され使用可能になっている.日本肺癌学会のガイドラインでは,進行期非小細胞肺癌においてはまずEGFR遺伝子変異とともにALK融合遺伝子の有無を確認して,それをもとに治療戦略を立てることが推奨されている.両剤ともにALK融合遺伝子の有無を診断して使用される薬剤であるが,コンパニオン診断薬が薬剤との1対1対応のため2剤で異なっており,「ALK融合遺伝子陽性と診断してクリゾチニブが有効であった症例にアレクチニブを投与しようとすると,アレクチニブのコンパニオン診断薬での再検査が必要になる」などの実臨床での不都合も生じている.「ALK融合遺伝子の有無をいかに正確に,いかにturn around timeを短く診断し,適切な症例に治療薬を届けるのか」を考えると,いくつかの課題がある.これらの薬剤の効果を最大限に得ていくには,その副作用のマネージメントも重要である.副作用マネージメントには,最新の副作用情報や製薬企業が提供している「治療の手引き」などの情報を把握して,治療に当たることが重要と考えられる.本稿では第55回日本肺癌学会学術集会(2014年11月)にALK阻害剤の症例選択とその副作用マネージメントについてお話しした内容をもとに,ALK阻害剤における症例選択と副作用マネージメントについて述べる.
索引用語:アレクチニブ, クリゾチニブ, Anaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子, 免疫染色, Fluorescent in situ hybridization(FISH)

肺癌 55 (6):956─961,2015

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