第55巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 総説 ─
新しい血管新生阻害薬Nintedanib(BIBF1120)の開発状況と最新情報
金田 裕靖11近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門
血管新生は腫瘍増殖において重要な因子のひとつであり,これを標的とする血管新生阻害薬の開発は重要である.ベバシズマブは非小細胞肺がんの標準治療に位置付けられており,重要な薬剤のひとつである.その後,いろいろな血管新生阻害薬が開発されているが,第III相試験において有用性が証明されたものはひとつもない.Nintedanibは新規の血管新生阻害薬であり,VEGFR1-3,PDGFR-α,β,FGFR1-3など複数の標的分子を強力に阻害する経口のmulti-kinase inhibitorである.二次治療におけるドセタキセルとの併用療法の有用性を検証する第III相試験(LUME-Lung 1)で主要評価項目であるPFSが有意に延長し,サブセット解析では腺がんで全生存期間も有意に延長することが報告された.この結果により,欧州では承認申請がされている.わが国でもドセタキセルやペメトレキセドとの併用の臨床試験が実施された.新規血管新生阻害薬Nintedanibのこれまでの臨床試験のデータを紹介し,現在の開発状況と最新情報について発表させていただいた.
索引用語:ニンテダニブ, 非小細胞肺がん, 血管新生阻害剤, 化学療法, ドセタキセル
肺癌 55 (6):962─972,2015