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第55巻第6号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

肺扁平上皮がんにおける殺細胞性抗がん剤の現状と今後の展望

吉岡 弘鎮1
1公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院呼吸器内科

進行非小細胞肺がんに対する薬物療法は,プラチナ製剤と第三世代抗がん剤を組み合わせた二剤併用療法を代表とする殺細胞性抗がん剤を用いた化学療法が主体であったが,近年EGFRチロシンキナーゼ阻害剤やALK阻害剤などの分子標的薬が開発され,大きく進歩した.また新しい治療戦略としてpemetrexed継続維持療法の有用性も証明された.しかし,これらの進歩は非扁平上皮がんに限定されており,扁平上皮がんの治療の中心は現時点では従来通り殺細胞性抗がん剤である.一方,肺扁平上皮がんに対して有効性が期待される殺細胞性抗がん剤(S-1,nab-paclitaxel,nedaplatin)を用いた臨床試験が積極的に行われており,nedaplatinについてはdocetaxelとの併用で肺扁平上皮がんに有効であることが2015年に証明された.さらに抗EGFR抗体や免疫チェックポイント阻害剤など新規薬剤の開発も急速に進んでおり,近い将来,肺扁平上皮がんの薬物療法の発展が大いに期待される.
索引用語:肺扁平上皮がん, 殺細胞性抗がん剤, S-1, nab-paclitaxel, Nedaplatin

肺癌 55 (6):973─981,2015

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