タイトル
第55巻第6号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (244K)
Article in Japanese

─ 総説 ─

N2切除可能非小細胞肺癌に対する化学放射線療法の可能性(WJOG5008Lより)

佐々木 智成1, 瀬戸 貴司2, 大賀 才路3, 吉武 忠正4
1九州大学大学院医学研究院放射線医療情報・ネットワーク講座, 2九州がんセンター呼吸器腫瘍科, 九州大学大学院医学研究院 3臨床放射線科学, 4九州連携臨床腫瘍学

臨床病期N2-IIIA期非小細胞肺癌に対して2014年版の肺癌診療ガイドラインでは,導入療法後に外科切除を行うことを考慮しても良い(グレードC1)とされている.しかしながら,一口に切除可能といってもその対象は施設ごとに異なっていることも多く,また術前治療の内容(化学療法レジメンや放射線の線量)についても未だ標準的なものはない.また大規模な臨床試験であるINT0139やEORTC08941では,いずれも術前治療+外科治療の意義を証明できていない.近年,III期切除不能進行肺癌に対する化学療法・放射線療法の治療成績は大きく進歩を遂げている.いくつかの第II相試験では2年生存率で40~80%程度の成績が報告されており,切除可能症例においても適切な症例を選択すれば化学放射線療法により治癒が期待できる集団があるかもしれない.西日本癌研究機構では切除不能III期肺癌に対してこれまでも新たな治療戦略を開発してきており,2015年の米国臨床腫瘍学会ではWJOG5008Lの試験結果を発表した.本稿ではその結果の一部を参照しながら切除可能IIIA期N2肺癌に対する化学放射線療法の可能性を検討する.
索引用語:根治的化学放射線療法, 切除可能IIIA期N2非小細胞肺癌, ガイドライン, 臨床試験

肺癌 55 (6):982─985,2015

ページの先頭へ