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第55巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

癌免疫療法の実際と可能性

横井 崇1,2
1関西医科大学内科学第一講座, 2関西医科大学附属枚方病院呼吸器腫瘍内科

進行肺癌は,薬剤の進歩により生命予後の著しい延長を示している.一方,免疫療法は以前から第4の治療として期待されてきたが,生命予後を延長するエビデンスのある免疫療法はなかった.近年,新たな免疫治療を担う薬剤として免疫チェックポイントを阻害する薬剤の開発が急速に進み,特にCTLA-4, PD-1, PD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤の開発が著しく,複数の大規模臨床試験が行われている.しかし,免疫チェックポイント阻害剤は従来の抗腫瘍薬とは異なるユニークな抗腫瘍効果を示すことが報告されており,従来のWHOやRECISTによる評価では免疫治療の有効性を十分に評価できない可能性がある.このためirRCなどの新しい評価基準が試みられているが,評価基準としてまだ十分でなく,従来の殺細胞性抗癌剤や分子標的薬などとの比較試験においては課題が残る.免疫チェックポイント阻害剤は従来の治療よりも長期生存を改善する傾向がみられ,進行肺癌の予後を飛躍的に改善する可能性を秘めており,より良い評価基準の作成,効果を予測するバイオマーカーの開発,新たな副作用に対応するためのエビデンスの蓄積などが望まれる.
索引用語:免疫チェックポイント阻害剤, CTLA-4, PD-L1, PD-1, irRC

肺癌 55 (6):991─994,2015

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