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第55巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 総説 ─
胸腺腫・胸腺癌に対する術前導入療法後の手術成績
新谷 康1, 川村 知裕1, 舟木 壮一郎1, 南 正人1, 井上 匡美2, 奥村 明之進11大阪大学大学院呼吸器外科学, 2京都府立医科大学呼吸器外科学
目的．浸潤型胸腺腫・胸腺癌に対する術前導入療法後の手術成績を解析し，予後因子を検討した．方法．導入療法後に手術を行った胸腺腫24例，胸腺癌16例を対象とした．術前診断で大血管浸潤（26例），リンパ節転移（3例）や胸膜播種（11例）を指摘され，生検診断後に導入療法を行った．正岡病期は，III期：20例，IVa期：13例，IVb期：7例であった．結果．胸腺腫瘍を含む胸腺摘出に加えて，上大静脈（11例），大動脈（1例），右腕頭動脈（2例）合併切除，肺葉切除（6例），胸膜肺全摘（2例）を行った．治療関連死は認めず，手術根治度はR0が23例，R1が9例，R2が8例であった．追跡期間中央値は5年で，全症例の5年生存率は82％であり，胸腺腫93％に対して胸腺癌63％，正岡III期100％に対してIV期67％，R0切除100％に対してR1手術64％，R2手術60％であった．胸腺癌非完全切除例で5年生存例はなかった．結論．胸腺腫は進行が緩徐なことが多く，集学的治療によって病巣を制御することができる．胸腺癌では完全切除をめざした術前療法が重要であり，腫瘍を遺残させない他臓器合併切除を含めた治療戦略をたてる必要がある．
索引用語：胸腺腫, 胸腺癌, 術前治療, 予後因子
肺癌 55 (6)：995─1000，2015
