タイトル
第55巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

検診にて指摘されるも4年間放置された肺腺癌の1切除例

大搗 泰一郎1, 栗林 康造1,4, 塚本 吉胤2, 多久和 輝尚3, 坪田 紀明4, 中野 孝司1,4
兵庫医科大学 1呼吸器内科, 2病院病理, 3呼吸器外科, 4胸部腫瘍科

背景.肺癌検診が早期肺癌の発見に有用であるとする報告は散見されるが,いくら早期に肺癌を発見しようとも,要精検の判定のまま未受診であれば,検診そのものの存在意義が失われてしまう.症例.66歳,女性.2010年5月肺癌CT検診にて右上葉に充実成分を伴うすりガラス結節ground glass nodule(GGN)を指摘され,要精査とされたが,自己判断にて放置された.2014年6月の再指摘時には,その陰影は増大し,肺癌が強く疑われ手術が行われた.結果,肺腺癌(pT1bN0M0)と診断され,術後補助化学療法を要することとなった.結論.5年生存率が15%以下と難治癌である肺癌に対しては,精検未受診者や経過観察の自己中断例への対策を提起する必要性のあることが示唆された.同時に,GGNを経過観察する際には,病理所見の進展を想起しつつ画像を読影し,治癒切除の機会を失することのなきよう努める必要がある.
索引用語:原発性肺癌, 低分化腺癌, すりガラス結節, 精査受診率

受付日:2015年2月4日
受理日:2015年8月7日

肺癌 55 (6):1014─1018,2015

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