タイトル
第55巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

Gefitinibにより10年以上の長期生存が得られたIV期肺腺癌の2症例

狩野 芙美1, 間邊 早紀1, 村上 修司1, 齋藤 春洋1, 横瀬 智之2, 山田 耕三1
神奈川県立がんセンター 1呼吸器内科, 2病理診断科

背景.Gefitinib投与により10年以上の長期生存が得られたIV期肺腺癌の2症例を報告する.症例.症例1:死亡時76歳女性.左S6原発肺腺癌(cT2N1M1 stage IV)に対して2002年9月からGefitinibの内服を開始した.有害事象は軽度の皮疹のみであった.10年4か月間Gefitinibの内服を継続した後に肝および骨転移巣の増悪が確認されたため,Gefitinibは中止し細胞障害性の化学療法を継続したが,治療開始から11年3か月後に死亡した.症例2:75歳男性.2001年12月に右上葉原発肺腺癌(cT2N3M0 stage IIIB)に対して化学放射線療法を開始したが,翌年10月に多数の皮膚転移が出現したため,Gefitinibの内服を開始した.有害事象は軽度の下痢のみであり,現在までに12年間Gefitinibの内服を継続している.2症例ともGefitinib開始後にexon 19の欠失を確認した.結論.Gefitinibの10年を超える長期投与例の報告は少なく,長期間服用後の耐性化要因の検索など,さらなる詳細な検討が必要である.
索引用語:Gefitinib, 長期生存

受付日:2015年1月8日
受理日:2015年8月24日

肺癌 55 (6):1029─1036,2015

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