タイトル
第55巻第6号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1467K)
Article in Japanese

─ 第29回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

肺腺扁平上皮癌,肺多形癌のCT画像と臨床像

斉藤 春洋1, 横瀬 智之2, 伊藤 宏之3, 中山 治彦3, 山田 耕三1
神奈川県立がんセンター 1呼吸器内科, 2病理診断科, 3呼吸器外科

目的.希少肺癌である肺腺扁平上皮癌や肺多形癌は,全肺癌中の発生頻度が数%であり,十分な検討が行われていない.方法.当院で外科切除を施行した肺腺扁平上皮癌16例,肺多形癌19例のThin-section CT画像所見および臨床像を後方視的に検討する.結果.肺扁平上皮癌は男性・喫煙者に多く,胸部検診や血痰などの症状で発見されることが多い.末梢発生が多く,腺癌と扁平上皮癌成分の割合は,症例により多様であり,多彩なCT画像所見を呈する.腫瘍径は比較的大きく,胸膜浸潤やリンパ管・血管浸潤が多い傾向にある.手術前の正診率は低く,術後5年生存率は25~35%と不良である.有効な化学療法は確立されていない.肺多形癌は男性・喫煙者に多く,胸部検診や血痰などの症状で発見されることが多い.末梢発生が多く,CT画像所見の形状は類円形が多い.内部に壊死を認める症例が多く,これがCT画像では低吸収域や空洞として反映される.癌成分は,腺癌の割合が多い傾向にあった.血管・胸膜浸潤の頻度は高い.治療前の正診率は低く,術後再発率は高く,術後の5年生存率は20~48%と不良である.有効な化学療法は確立されていない.結語.肺腺扁平上皮癌,肺多形癌はそれぞれ特徴的なCT画像所見を呈していた.今後,有効な化学療法の確立が必要である.
索引用語:肺腺扁平上皮癌, 肺多形癌, CT, 病理, 化学療法

肺癌 55 (6):1045─1053,2015

ページの先頭へ