 |
第55巻第7号目次 | Japanese/English |
 | Full Text of PDF (403K) Article in Japanese |
─ 原著 ─
本邦における肺癌臨床研究の論文化の現況
越智 宣昭1, 本多 宣裕1, 山根 弘路1, 梅村 茂樹2, 堀田 勝幸3, 谷本 光音3, 木浦 勝行3, 瀧川 奈義夫11川崎医科大学総合内科学4, 2国立がん研究センター東病院呼吸器内科, 3岡山大学血液・腫瘍・呼吸器内科
目的．UMIN臨床試験登録システム（UMIN-CTR）は，臨床試験の公的なデータベースのひとつであり，論文投稿時には登録されていることが要求されている．UMIN-CTRを用いて，本邦の肺癌臨床試験における論文化の現況を検討する．方法．2005年10月までにUMIN-CTRに登録された原発性肺癌の治療に関する48の試験について，2014年12月での論文化の有無を，その登録情報およびPubMedにて検索した．結果．試験結果の論文化は全体で31試験（64.6％）であり，そのうち“positive study”は16試験，“negative study”は15試験であった．設定症例数100例以上とそれ未満の研究の論文化割合は66.7％（10/15）と63.6％（21/33）で，差は認められなかった．UMIN-CTRへの登録時点で解析終了予定日が入力済の試験では，論文化された割合が有意に高かった（84.2％ vs 51.4％，p=0.021）．結論．“negative study”も含め約2/3が論文化されており，UMIN-CTRは臨床試験登録システムとしてその機能を果たしていると考えられる．
索引用語：肺癌, 臨床試験, 登録
受付日：2015年8月26日
受理日：2015年10月31日
肺癌 55 (7)：1070─1074，2015
