タイトル
第55巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胸腺神経内分泌腫瘍との鑑別が困難であった中縦隔神経内分泌癌の1例

海寳 大輔1, 飯田 智彦1, 豊田 行英1, 藤原 大樹1, 廣島 健三2, 柴 光年1
1国保直営総合病院君津中央病院呼吸器外科, 2東京女子医科大学八千代医療センター病理診断科

背景.中縦隔に発生する神経内分泌癌は極めて稀である.症例.51歳女性.主訴は四肢感覚異常.前医で施行した胸部X線で胸部異常陰影を認め,当科紹介となった.胸部CTでは上~中縦隔にかけて,上大静脈を圧排する72×52 mmの腫瘤を認めた.超音波気管支鏡下針生検(EBUS-TBNA)を施行し,未分化癌の診断となった.全身検索で原発巣を疑う所見を認めず,縦隔悪性腫瘍または原発不明癌縦隔リンパ節転移が疑われた.術前化学放射線治療後に,縦隔腫瘍摘出術を施行した.免疫染色では,synaptophysin,CAM5.2,EMAは陽性,TTF-1は陰性であったが,腫瘍周囲に胸腺組織を認めず,large cell neuroendocrine carcinoma(pTxN2M0)と診断した.術後放射線照射を追加し,術後15ヶ月現在無再発生存中である.結論.胸腺神経内分泌腫瘍との鑑別が困難であった中縦隔神経内分泌癌の1例を経験した.術前に良悪性ばかりではなく組織型を診断することは困難ではあるが,EBUS-TBNAは中縦隔腫瘍の診断に有用であった.
索引用語:中縦隔腫瘍, 神経内分泌腫瘍, 原発不明癌縦隔リンパ節転移

受付日:2015年4月20日
受理日:2015年10月16日

肺癌 55 (7):1086─1091,2015

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