タイトル
第55巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胸腺原発大細胞神経内分泌癌の1例

西澤 夏將1, 大崎 敏弘1, 金山 雅俊1, 中川 誠1, 宗 知子1, 小館 満太郎1
1飯塚病院呼吸器外科

背景.胸腺原発の大細胞神経内分泌癌は,胸腺上皮性腫瘍の低分化型神経内分泌癌に分類される稀な疾患である.症例.68歳女性.健診の胸部X線で右肺門部異常陰影を指摘され,胸部CTで前縦隔に50×40 mmの周囲組織と境界明瞭な腫瘤を認めた.胸腺腫を疑い胸骨正中切開で手術を行った.周囲臓器への浸潤はなく,62×45×33 mmの弾性硬で被包化された腫瘍について周囲の正常胸腺を含めて完全切除した.組織所見では大型の腫瘍細胞が充実胞巣状~索状,ロゼット様に増生,多数の核分裂像を認めた.免疫組織染色ではTTF-1(-),chromogranin A(+),synaptophysin(+)であり,胸腺原発大細胞神経内分泌癌と診断した.部分的に被膜外浸潤を認め正岡病期分類II期,WHO TNM分類II期(T2N0M0)であった.術後補助化学療法として小細胞肺癌に準じてCDDP+VP-16併用療法を4コース施行した.現在まで17ヶ月間無再発生存中である.結論.胸腺原発の大細胞神経内分泌癌は報告が少なく,症例蓄積による治療指針の確立が必要である.
索引用語:胸腺, 大細胞神経内分泌癌

受付日:2015年7月10日
受理日:2015年10月19日

肺癌 55 (7):1092─1097,2015

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