タイトル
第56巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

気管支鏡下生検後の感染により急速に増大した空洞性病変を呈する転移性肺腫瘍の1例

鈴木 仁之1, 庄村 心1, 井上 健太郎1, 矢田 真希1, 島本 亮2, 近藤 智昭1
1三重県立総合医療センター呼吸器外科, 2三重大学胸部心臓血管外科

背景.肺の空洞性病変が感染をきたした際に,急速に壁肥厚や空洞が増大することは知られている.しかし,気管支鏡下の生検後早期に感染を形成して急速に増大することは稀である.今回我々は,気管支鏡下生検後の感染により急速に増大した転移性肺腫瘍の1例を経験したので報告する.症例.63歳,男性.直腸癌術後フォローアップCT検査で左下肺野に空洞を伴う結節を認めたため気管支鏡検査を施行したところ,直腸癌肺転移と診断された.検査後2日に発熱を認め,CT検査では腫瘍径は急速に増大し,空洞内部に液の貯留を認めた.空洞内感染の診断で抗菌薬治療を開始したが,敗血症性ショックに陥ったため緊急左下葉切除を施行した.結論.空洞を伴う径の大きな腫瘤に対する生検は慎重に行い,診断確定後には早期の手術を行う必要がある.
索引用語:転移性肺腫瘍, 気管支鏡下生検, 空洞内感染, 空洞形成, 直腸癌

受付日:2015年8月25日
受理日:2015年11月20日

肺癌 56 (1):17─21,2016

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