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第56巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第30回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

肺癌の化学療法 総論(小細胞肺がん)

中西 洋一1
1九州大学胸部疾患研究施設

小細胞肺がんは増殖速度が速く転移しやすい一方で,薬剤感受性が高い.臨床的には限局型と進展型に分類される.明確な境界は定められていないが,治療方針と予後からすると限局型とは一側胸郭,縦隔,鎖骨上リンパ節に限局しており,かつ悪性の腔水症がないケース,すなわち放射線照射領域に腫瘍が限局しているものを指すことが多い.このような進展範囲の腫瘍は全小細胞肺がんの30%程度である.限局型小細胞肺がんは根治が期待できる疾患として,化学放射線療法が選択される.標準的治療は化学放射線同時併用療法である.併用する化学療法は,放射性肺臓炎を起こすリスクの少ないシスプラチンとエトポシドの併用療法が選択される.標準的治療を行った場合,中央生存が16~24ヵ月程度,5年生存率は14%程度である.一方,進展型小細胞肺がんは中央生存が6~12ヵ月程度で,長期生存はほとんど見込めない.進展型小細胞肺がんにおいては初回治療として薬物療法単独が選択される.我が国のガイドラインにおいては,耐用可能な症例に対してはシスプラチンとイリノテカンの併用療法が第一選択である.
索引用語:限局型, 進展型, 化学放射線療法, 予防的全脳照射

肺癌 56 (1):43─47,2016

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