タイトル
第56巻第1号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

高山 浩一
京都府立医科大学大学院呼吸器内科学

発刊予定の56巻1号は,1編の原著論文,6編の症例報告,第30回肺癌学会ワークショップからの報告4編を掲載しています.ワークショップの報告は分子標的薬耐性に関するバイオマーカー.肺癌最適化医療に向けたマルチ診断薬.小細胞肺癌の化学療法総論.PD-1を標的としたがん免疫療法と.現在の肺癌診療が直面している問題を幅広く取り上げています.分子標的治療においては耐性変異も含めて希少かつ治療効果が見込める遺伝子異常や遺伝子多型をいかに効率よく迅速に診断するかは喫緊の問題であります.免疫チェックポイント阻害剤はこの2月からNivolmabが出来高算定になり.急速に使用が拡大するものと思われます.今後,続々と同種の薬剤が上市される予定であり.最適な使用法をこれから探索して行かねばなりません.一方.小細胞肺癌についてはなかなか治療におけるブレイクスルーが得られず.現時点ではガイドラインに沿った標準治療を確実に実施することが重要と考えられます.全体に肺癌医療が今後取り組むべき課題が示されており.ワークショップに参加できなかった先生方には是非誌面にて確認いただきたいと思います.原著論文は東京の地域病院における過去22年間の肺癌症例を後方視的に解析した報告です.他疾患診療中に偶然発見されたケースは予後良好であり.一病息災を裏付ける結果でありました.症例報告は肺転移病変についての検討が4例.まれな気管腫瘍1例.肺癌に伴う血気胸1例で.いずれも日常臨床に参考になる症例かと思います.最後に本誌に投稿していただいた方々.査読いただいた先生方に改めて御礼申し上げます.

肺癌 56 (1):77─77,2016

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