タイトル
第56巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

発熱性好中球減少時のCISNEとMASCCスコアによる重症化予測

本多 宣裕1, 越智 宣昭1, 山根 弘路1, 藤井 宏美2, 瀧川 奈義夫1
1川崎医科大学総合内科学4, 2川崎医科大学附属川崎病院薬剤部

目的.本邦では化学療法による発熱性好中球減少症(FN)の重症化を予測するMultinational Association of Supportive Care in Cancer(MASCC)スコアが汎用されている.最近海外よりClinical Index of Stable Febrile Neutropenia(CISNE)スコアの有用性が報告され,その妥当性を検証した.方法.2011年4月から2015年3月の間に当科に入院し,化学療法によりFNを発症した症例のMASCCスコアとCISNEスコアによるFN重症化リスクを比較した.結果.対象は,肺癌38例,悪性リンパ腫16例,消化器癌5例,肉腫5例,卵巣癌4例など計72例であり,うちFNの重症化は10例に認められた.MASCCスコアによる高リスク群は28例(38.9%)で,重症化予測の感度,特異度,ROC曲線下面積はそれぞれ60%,69%,0.63であった.CISNEスコアによる高リスク群は16例(22%)であり,FN重症化予測の感度,特異度,ROC曲線下面積はそれぞれ40%,82%,0.48であった.結論.CISNEスコアはMASCCスコアよりFN重症化の予測が良好とは言えず,本邦における予測モデルを構築する必要があると考えられた.
索引用語:化学療法, 発熱性好中球減少症, 重症化予測

受付日:2015年11月30日
受理日:2016年1月13日

肺癌 56 (2):79─83,2016

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