タイトル
第56巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

CT画像所見で腫瘍周囲にGGA(ground-glass attenuation)陰影を認めた肺のALK陽性多形癌の1例

菊地 憲孝1, 齋藤 春洋1, 伊坂 哲哉2, 伊藤 宏之2, 横瀬 智之3, 山田 耕三1
神奈川県立がんセンター 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3病理診断科

背景.肺多形癌は希少肺癌であり,胸部CT画像所見の特徴についての報告も少ない.今回,腫瘍周囲に出血によるすりガラス陰影ground-glass attenuation(GGA)を伴う,特異的なCT画像所見を示したALK変異陽性の肺多形癌を経験したので報告する.症例.症例は44歳,男性.持続する血痰を主訴に受診し,右下葉に径20 mm大の結節を認め,精査が施行された.気管支内視鏡下生検病理所見からは,腺癌成分を含む肺多形癌が疑われた.胸部thin-section CT画像所見では,結節陰影の周囲には全周性に境界明瞭なGGA陰影を認めた.GGA陰影があることから,肺胞上皮置換増殖型の腺癌成分が含まれる病理像が推測された.切除後の病理組織診断は,腺癌と紡錘形細胞癌からなる多形癌(pT1bN2M0)であった.腫瘍周囲には,時相の異なる出血病変を認め,CT画像上のGGA陰影に相当していた.また,ALKの免疫染色陽性であり,ALK融合遺伝子が検出された.結論.腫瘍周囲に全周性の出血病変を伴い,CT画像所見では特異的なGGA陰影として認められた,肺多形癌の1例を報告した.
索引用語:肺多形癌, 出血, すりガラス陰影, GGA, CT

受付日:2015年8月23日
受理日:2015年12月29日

肺癌 56 (2):98─102,2016

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