タイトル
第56巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

化学療法にて長期生存が得られている先端巨大症に合併した肺腺癌の1例

大西 真裕1, 小林 哲1, 浅山 健太郎1, 都丸 敦史1, Esteban C. Gabazza2, 田口 修3
1三重大学医学部附属病院呼吸器内科, 2三重大学医学部免疫学, 3三重大学保健管理センター

 背景.先端巨大症の発症率は100万人に数人であり,稀な疾患である.骨変形,糖尿病,心疾患,そして悪性腫瘍などを合併することが知られ,これらの合併症のため予後不良となる.過剰分泌された成長ホルモン(growth hormone:GH)が肝臓に作用し,インスリン様成長因子1(insulin-like growth factor 1:IGF-1)が産生され,発癌に関与するとされる.症例.症例は70歳,女性.喫煙歴なし.35歳時に,先端巨大症と診断され,経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術(Hardy法)を受けた.40歳時に再燃を認めたが,薬物療法にてGH,IGF-1ともに正常化し,病勢は安定していた.67歳時に胸痛を認め,精査の結果,肺癌,腺癌,cT2bN1M1b,stage IVの診断に至った.化学療法が開始され,腫瘍は縮小し,3年経過した現在も維持療法中である.結論.先端巨大症に合併した肺腺癌を経験した.先端巨大症は悪性腫瘍を合併するが,肺癌の報告は少ない.さらに本例は長期間化学療法が奏効している特徴的な症例であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語:肺癌, 化学療法, 先端巨大症, 成長ホルモン, インスリン様成長因子1

受付日:2015年11月16日
受理日:2016年2月8日

肺癌 56 (2):108─113,2016

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