タイトル
第56巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

導入化学療法後に手術を施行し,肺結核合併と診断された肺癌の1例

芳野 充1, 関根 康雄1, 黄 英哲1, 長谷川 瑞江2, 廣島 健三3
東京女子医科大学八千代医療センター 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理診断科

背景.肺癌と肺結核については合併頻度が高いことが示されており,その可能性については常に考慮する必要がある.症例.75歳,男性.左上葉肺腺癌(cT2aN3M0 IIIB)の診断で,導入化学療法(CDDP+PEM 2コース)を施行した.治療効果はPRであり原発巣以外のリンパ節病変はほぼ消失を認め,胸腔鏡下左上葉切除およびリンパ節郭清術を施行した.下葉にも腫瘤を触知し,下葉の部分切除も行った.手術の結果,肺癌はpT2aN1M0 IIAであり,部分切除した腫瘤は結核腫と診断された.術後喀痰でも肺結核と診断され,抗結核薬による治療を行った.化学療法開始前には下葉に腫瘤影を認めず,結核と診断された病変は化学療法後に発症した可能性が示唆された.結論.肺癌と肺結核の合併は頻度が高く,また一方の治療経過中に続発,増悪する可能性もあり得る.合併の際には早急な診断,治療が必要であり,常に念頭に置き診療に当たる必要があると考えられた.
索引用語:肺癌, 肺結核, 合併, 化学療法, 外科切除

受付日:2015年12月1日
受理日:2016年2月12日

肺癌 56 (2):114─118,2016

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