タイトル
第56巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

高齢者上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌におけるゲフィチニブの有効性と安全性の検討

日下 圭1, 廣瀬 敬1, 田村 厚久1, 扇谷 昌宏1, 松井 弘稔1, 大田 健1
1独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器センター

目的.上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)は,EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌に対し第一選択であるが,高齢者非小細胞肺癌に対するゲフィチニブの有効性や安全性を検討した報告は少ない.方法.ゲフィチニブ250 mgを連日投与された70歳以上EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌52例の治療効果,有害事象について後方視的に検討した.結果.女性35例(67%),PS 2以上13例(25%),全例腺癌で,年齢中央値は75歳であった.奏効率は73.1%,病勢制御率は90.4%,無増悪生存期間中央値は10.7ヶ月,生存期間中央値は23.1ヶ月であった.皮膚毒性を51%,肝機能障害を33%,下痢を25%に認め,薬剤性肺障害で2例が死亡した.有害事象による減量を31%,中止を21%で要した.70~79歳と80歳以上で治療効果,有害事象に有意差を認めなかった.結論.高齢者EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌に対し,ゲフィチニブは有効であるが,約半数の患者で減量・中止を要し,個々の患者に適した投与量で治療を継続することが重要であると考えられた.
索引用語:ゲフィチニブ, 非小細胞肺癌, 高齢者

受付日:2015年12月28日
受理日:2016年2月27日

肺癌 56 (3):177─182,2016

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