タイトル
第56巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

治癒切除できたIA期小細胞肺癌の病理学的検討

飯島 秀弥1, 洞口 亮1, 田畑 俊治2, 須田 祐司1, 進藤 百合子1, 澤井 高志3
1仙台市医療センター仙台オープン病院呼吸器内科, 2東北医科薬科大学病院呼吸器外科, 3仙台市医療センター仙台オープン病院病理部

背景.限局型小細胞肺癌の標準治療は化学放射線治療である.治療によく反応するが,容易に薬剤耐性を獲得し再発する.この耐性獲得時の病理学的変化をみた報告はない.またIA期であれば,外科切除を加えることで,生存率を向上させ得ることも報告されている.症例.75歳,男性.腹部大動脈瘤の術前検査で右中葉結節影を指摘された.気管支鏡検査と画像診断でIA期小細胞肺癌と診断された.化学療法4コースでほぼ消失したが,8ヶ月後に局所再発を認めた.今回もIA期小細胞肺癌と診断された.前回と同じ化学療法を行ったが,忍容性不良で中断し,外科切除を施行した.治癒切除が得られ,予防的全脳照射を施行し,3年間再発を認めていない.経過中に3回の病理学的検討を行った.2回目の化学療法前の生検組織は,初回化学療法前の生検組織と同等であったが,手術標本では異型性が強く,核分裂像やロゼット形成も認められた.結論.化学療法後に再発し,薬剤耐性を獲得した小細胞肺癌でも,IA期であれば治癒切除を期待できる症例が存在する.
索引用語:小細胞肺癌, 根治手術, 薬剤耐性

受付日:2015年11月3日
受理日:2016年3月21日

肺癌 56 (3):205─209,2016

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