タイトル
第56巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺血管筋脂肪腫と肺リンパ脈管筋腫症を合併した肺腺癌の1切除例

金子 勇貴1, 松本 勲1, 高田 宗尚1, 田村 昌也1, 齋藤 大輔1, 竹村 博文1
1金沢大学先進総合外科

背景.肺癌に多発肺結節を伴う場合,肺転移かどうかの診断が重要である.また肺血管筋脂肪腫(AML)はリンパ脈管筋腫症(LAM)を合併する稀な疾患であり,ときに多発肺結節を呈する.症例.65歳,女性.33歳時に腎AML破裂のため右腎摘出術歴あり.65歳時に検診の胸部X線写真で左中肺野に結節影を指摘された.胸部CTでは左肺舌区に1.9 cm大の辺縁不整な結節影と,多発する脂肪濃度の肺結節,肺嚢胞を認め,FDG-PETでは舌区の結節にのみFDG集積があった.多発肺結節に関しては既往歴,CT値,FDG集積のないことから肺AMLを疑い,原発性肺癌と肺AMLの合併として手術を施行.肺部分切除後,術中迅速診断にて多発肺結節は脂肪腫,舌区の結節は腺癌と診断され,左肺上葉切除術および2a-1群リンパ節郭清を行った.最終病理診断はpT1aN0M0,IA期肺腺癌であり,他病変はエストロゲン受容体,α平滑筋アクチン,Melan-Aが陽性で,多発肺結節はAML,嚢胞性病変はLAMと診断された.結論.肺癌に肺AML,肺LAMを合併した極めて稀な症例を経験した.肺転移との鑑別にCT値,FDG-PET検査が有用であった.
索引用語:肺癌, 血管筋脂肪腫, リンパ脈管筋腫症, CT値, FDG-PET

受付日:2016年1月10日
受理日:2016年3月21日

肺癌 56 (3):210─214,2016

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