タイトル
第56巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌に対しEGFR-TKI治療後,気管支鏡下再生検を施行し組織診陰性であった3症例

森川 慶1,3, 栗本 典昭2, 柿沼 一隆1, 古屋 直樹1, 宮澤 輝臣1, 峯下 昌道1
聖マリアンナ医科大学 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3陸上自衛隊対特殊武器衛生隊

背景.第3世代EGFR-TKIの臨床導入にあたりT790M変異の確認が重要であるが,気管支鏡下再生検の症例蓄積は少ない.今回,気管支鏡下再生検を行ったEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌3例を経験したので報告する.症例.症例1,2はIV期(EGFR変異;いずれもexon19欠失),症例3はI期(exon21 L858R点突然変異)であったが,低肺機能および複数病変のためEGFR-TKIを投与した.いずれも経過中増悪し,初回生検と同部位から再生検を行った.症例1はEBUSでwithinを得たが気管支周囲に高輝度線状影を認め,鉗子生検に難渋した.組織診陰性であったが細胞診陽性,T790M変異陰性であった.症例2はEBUSでadjacent toに留まり,組織診・細胞診ともに陰性であった.症例3はEBUSでwithinだったが,出血のため処置回数を減らした.細胞診陽性,T790M変異を認めたが,組織診陰性であった.結語.気管支鏡下再生検は,治療による組織性状変化や腫瘍径縮小などで困難な症例が存在し,対象病変の選定や組織採取法のさらなる工夫が必要と考えられた.
索引用語:EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌, 再生検, 気管支鏡

受付日:2016年1月25日
受理日:2016年3月24日

肺癌 56 (3):219─226,2016

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