タイトル
第56巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

右上葉の切除標本を詳細に観察して2.5 mmの原発巣が見つかった原発不明肺門リンパ節小細胞癌の1例

谷澤 秀1, 宮城 淳1, 那覇 唯2, 内原 照仁2, 赤嶺 盛和2, 石川 雅士3
沖縄赤十字病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理診断科

背景.肺門・縦隔リンパ節転移で見つかる原発不明小細胞癌の報告が散見される.また肺小細胞癌と肺腺癌が肺野に独立して同時に存在した報告は少ない.症例.67歳,男性.胸部CTで右上葉にGGO病変が偶然見つかった.PET検査では肺門リンパ節への集積が見られたが遠隔転移はなく,右上葉切除およびリンパ節郭清術を行った.病理検査の結果,GGO病変は肺腺癌と診断されたが,肺門リンパ節は小細胞癌と診断された.摘出した右上葉の全割面標本を肉眼的に詳細に観察して原発を精査した結果,GGO病変と離れた部位に2.5 mmの小細胞癌が見つかった.その周囲には多数のリンパ管浸潤が見られたため,原発巣と判断された.結語.原発不明の肺門・縦隔リンパ節小細胞癌の報告が見られるが,原発と考えられる肺葉を詳細に精査すれば原発巣を同定できる可能性がある.
索引用語:原発不明リンパ節小細胞癌, 肺門リンパ節転移, 微小肺小細胞癌, 同時性多発癌

受付日:2016年1月26日
受理日:2016年4月12日

肺癌 56 (4):257─262,2016

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