タイトル
第56巻第5号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

原発性肺軟骨肉腫と考えられた1例

岡松 佑樹1, 井上 勝博1, 川上 覚1, 河口 知允1, 内山 明彦2, 笹栗 毅和3
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)九州病院 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3病理科

背景.軟骨肉腫は大腿骨や骨盤から発生することが多く,肺より発生する軟骨肉腫は極めて稀であり,国内では自験例を含めて18例が報告されているのみである.症例.53歳男性.高血圧症,脂質異常症で近医通院中であった.初診1か月前より咳嗽を認め,かかりつけ医を受診した.胸部X線写真で右下肺野に腫瘤影を指摘されたため当科紹介受診となり,精査目的に入院となった.胸部CTで右中下葉にまたがる腫瘤を認め,気管支鏡検査では確定診断には至らなかった.MRI,FDG-PET検査により悪性腫瘍が疑われたため,右中下葉切除術を施行した.切除標本の病理組織所見では,硝子軟骨様の多量の基質中に大小不同の異型性を有する軟骨細胞様の腫瘍細胞が増生しており,軟骨肉腫の病理診断となった.全身検索の結果,他臓器からの肺転移は否定的であり原発性肺軟骨肉腫と考えられた.術後経過は良好で,現在も再発や他臓器の原発巣の出現なく経過している.結語.今回我々は肺原発と考えられる軟骨肉腫の1例を経験した.治療の第1選択は手術による完全切除とされ,完全切除された場合の予後は比較的良好であるが,再発例も多く自験例も慎重な経過観察が必要である.
索引用語:原発性肺軟骨肉腫, 肺葉切除術

受付日:2016年3月1日
受理日:2016年7月18日

肺癌 56 (5):373─378,2016

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