タイトル
第56巻第5号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1309K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

脳転移の治療後,3年間にペメトレキセド維持療法を40コース施行した肺癌症例に,サルベージ手術を施行した1例

岩坪 重彰1, 橋本 教正1, 西村 知子1, 西村 尚志1, 寺田 泰二2, 安原 裕美子3
京都桂病院 1呼吸器センター呼吸器内科, 2呼吸器センター呼吸器外科, 3病理診断科

背景.今回,脳転移の治療後に,導入全身化学療法に続いて維持療法を3年間継続後,サルベージ手術を施行した症例を経験したので報告する.症例.症例は55歳,女性.頭痛,めまい,発語障害を主訴に近医を受診.脳腫瘍が2カ所に認められ,1個の腫瘍摘出術を施行した.摘出標本の病理所見では腺癌であり,胸部CTにて左肺上葉に縦隔胸膜浸潤が疑われる腫瘍陰影を認め,脳転移を伴う肺癌(cT3N0M1b,stage IV)と診断した.残る1カ所の脳転移巣にガンマナイフを施行し,シスプラチン(CDDP)+ペメトレキセド(PEM)を4コース,続いてPEMの維持療法を3年間に40コース施行したが,その間に新規病変を認めず,肺の原発巣は縮小を保ったままであったため,左上葉切除術を施行した.病理所見では腫瘍細胞を認めず,術後11カ月現在無治療で無再発生存中である.結論.脳転移の治療後,化学療法により長期制御が得られたため,サルベージ手術を施行し,腫瘍の残存を認めなかった1例を経験した.遠隔転移巣が制御され,長期の維持療法を施行した症例でも,サルベージ手術の適応になると考えられた.
索引用語:肺癌, ペメトレキセド, サルベージ手術, 脳転移, Oligometastasis

受付日:2016年3月22日
受理日:2016年7月18日

肺癌 56 (5):379─384,2016

ページの先頭へ