タイトル
第56巻第5号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

大平 達夫
東京医科大学 呼吸器・甲状腺外科学分野

発刊予定の56巻5号は,1編の原著論文,10編の症例報告,1編の短報を掲載しています.10月はじめには,例年同様にノーベル賞の受賞者が発表されました.3年連続で日本人が受賞され,日本人で25人目の受賞となりました.今年は,東京工業大学名誉教授の大隅良典先生がオートファジーに関する研究成果で受賞されました.オートファジーは,がんの治療への応用も期待されており,今後の研究のさらなる発展を期待します.このように日本人が受賞されたのは喜ばしいことですが,研究者が継続して研究できるような環境整備が重要だということも述べていました.日本では,医療でも質の高い臨床試験や基礎研究が行われているように感じています.継続していくためには,リサーチマインドの高い医師を育む環境が重要だと感じています.近年は,専門分野の専門医取得に重点を置く若手医師が増えているように感じていますが,リサーチマインドを大切にし,基礎研究の考え方や研究姿勢を生かして,質の高い研究,臨床を行っていくことが重要であると感じています.今号では,原著論文としてEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌のre-biopsyに関しての報告がされています.12月に福岡で開催される日本肺癌学会学術集会においても,多くのre-biopsyに関する報告があるのではないかと期待しています.症例報告では,稀な症例,分子標的治療薬が有効であった症例,サルベージ手術を行った症例など様々な報告がされています.肺癌診療では,ガイドラインが整備されていますが,臨床では、ガイドラインでは解決できない症例も多く経験します.症例報告として共有していくことが重要だと思うような貴重な報告が今号でも掲載されています.最後に忙しい業務の中で,本誌に投稿いただいた方々,査読いただいた先生方に改めて御礼申し上げます.

肺癌 56 (5):417─417,2016

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