タイトル
第56巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

横行結腸癌,硬化性肺胞上皮腫を併存した原発性多発肺癌の同時性重複癌の1例

都島 由紀雄1, 石森 章太郎2, 宍倉 有里3
千葉徳洲会病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理診断科

背景.近年,胸部薄切CTの普及に伴い,肺内多発ground-glass nodules(GGNs)の発見が増加,多発肺癌症例の報告も増加している.今回我々は,結腸癌,硬化性肺胞上皮腫を併存した原発性多発肺癌の同時性重複癌の1例を経験したので,報告する.症例.69歳,女性.2015年7月,横行結腸癌に対して横行結腸切除術を施行した.胸部薄切CT検査で右肺上葉に4箇所のpure GGNs,右肺下葉にsolidな結節,左肺上葉にpart-solid GGNを認めたため,多発肺癌及び転移性肺腫瘍を疑った.2015年9月,右肺上葉切除及び下葉部分切除術を施行した.病理診断で右肺上葉の4箇所のGGNsは原発性多発非浸潤性肺腺癌,下葉の結節は硬化性肺胞上皮腫であった.2015年11月,左肺上葉のpart-solid GGNに対して左肺上区域切除術を施行した.病理診断は微小浸潤性肺腺癌であった.結論.結腸癌,硬化性肺胞上皮腫を併存した原発性多発肺癌の同時性重複癌症例に対して,全ての腫瘍病巣を外科切除した1例を報告した.
索引用語:胸部薄切CT, すりガラス陰影, 多発肺癌, 重複癌, 硬化性肺胞上皮腫

受付日:2016年6月8日
受理日:2016年8月7日

肺癌 56 (7):1034─1039,2016

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