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第56巻第7号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

岡本 浩明
横浜市立市民病院 呼吸器内科・腫瘍内科

肺癌56巻7号の編集後記を述べる機会を頂きました.今回3年ぶりの編集後記ですが編集委員として2期目なので,多分これが最後です.本号では2本の原著論文と8本の症例報告が掲載されました.ご承知のように年1回の肺癌学会学術集会と各地で年数回の支部会が開催されているにもかかわらず発表演題数に比較して,その後論文化されたものが少ないことは以前から指摘されています.自分達が経験し調査したことを学会抄録だけで終えるのは勿体ない話であり,是非貴重な情報を論文化し世間に発信していただきたいと思います.インパクトファクターのある英文誌を目標とするのは良いとしても,大半は症例報告を扱っていません.若手医師を育てる意味で査読制度のある国内学会誌の存在は貴重です.個人的な見解で異論はあるかもしれませんが,本誌は他紙と比べ採択率の高い雑誌なので,私は投稿された論文に対し「いかに通すか」の基本姿勢でこの4年間編集委員を務めて参りました.今回の症例報告集を読んで「なるほど,似たような経験はしたけど,著者のように深く考察しなかったし若手に論文作成を促すこともしなかった」と私も反省しております.文献上,似た報告はあっても決して同じ症例はないはずです.新規性が乏しければ過去の報告例をまとめてレビューし独創性をアピールする手法もあるでしょう.一昨年度から優秀論文賞が設けられ,受賞者は学術集会で表彰され注目されるようになりました.何とかオリジナリティーを見出して本雑誌に投稿していただきたいものです.本号に採択された著者の先生方には心からお祝いを申し上げると同時に,今後も継続的に論文執筆活動をなさることを祈念しながら,結びの言葉といたします.

肺癌 56 (7):1090─1090,2016

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