タイトル
第57巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺門部肺癌に起因する急性呼吸不全を発症した80歳男性に対して,oncological emergencyと診断し,左肺全摘術を施行して救命し得た1例

都島 由紀雄1, 石森 章太郎2, 宍倉 有里3
千葉徳洲会病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理診断科

背景.一般的に70歳以上の高齢症例に対する肺全摘術は特に慎重に適応を決定する必要があるが,臨床の現場では肺全摘術でしか救命できない症例にも遭遇する.今回我々は,進行肺門部肺癌に起因する急性呼吸不全を発症した80歳男性に対して,oncological emergencyと診断し,緊急左肺全摘術を施行して劇的に症状を改善した1例を経験したので報告する.症例.80歳,男性.2015年12月,呼吸苦と左胸部鈍痛を主訴に近医を受診した.胸部単純X線写真で左肺野に巨大な腫瘤様陰影を認めたため,当院に緊急搬送された.胸部CT所見でも左胸腔内を占拠する巨大な腫瘤性病変を認めたため,局所進行肺門部肺癌を強く疑った.明らかな遠隔転移は認めず,主訴の原因は左胸腔内巨大腫瘤による急性呼吸不全と考え,oncological emergency caseと診断し,緊急的に左肺全摘術を施行した.術後経過は良好で第7病日に軽快退院となった.結論.Oncological emergency caseにおいては,70歳以上の高齢者に対しても肺全摘術は適応となり得る.
索引用語:局所進行肺癌, 肺全摘術, 高齢者, 換気血流不均衡, がん緊急

受付日:2016年6月7日
受理日:2016年11月2日

肺癌 57 (1):12─17,2017

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