タイトル
第57巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胃病変で発症し長い経過を辿って診断し得たリンパ腫様肉芽腫症の1例

蓮実 健太1, 田中 浩一1, 村岡 修二2, 後藤田 裕子2, 市原 真2, 岩口 佳史2
JA北海道厚生連札幌厚生病院 1外科, 2病理診断科

背景.リンパ腫様肉芽腫症は,肺癌取扱い規約において「リンパ組織増殖性疾患」に分類されている.リンパ腫様肉芽腫症は稀な疾患であり,病態や疾患概念,治療法が十分確立されていない.症例.症例は初診時63歳の女性.2009年7月に上部消化管造影検査にて異常を指摘された.上部消化管内視鏡検査で複数回生検を行ったが診断がつかず,その後胃病変は自然退縮した.2015年1月のCTにて多発肺腫瘤と腹部リンパ節腫大が出現した.2015年3月に診断目的で胸腔鏡下左下葉部分切除術を施行し,病理組織学的にリンパ腫様肉芽腫症の診断を得た.胃生検の検体を再検したところ類似した組織像であり,胃病変もリンパ腫様肉芽腫症の一連の病態と考えられた.2015年10月のCTで肺および肝臓に多発結節影が出現し,多剤化学療法を2015年11月より開始した.2016年1月現在3コース終了し,肺・肝・リンパ節とも縮小した(部分奏功).結論.胃病変を伴ったリンパ腫様肉芽腫症の報告は数例にとどまり,本症例は稀な症例といえる.リンパ腫様肉芽腫症は,必ずしも肺に限局した疾患ではないことを念頭におき対応すべきである.
索引用語:リンパ腫様肉芽腫症, 肺, 胃, 肝転移

受付日:2016年3月19日
受理日:2016年11月7日

肺癌 57 (1):18─22,2017

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