タイトル
第57巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

扁桃転移を伴った肺大細胞神経内分泌癌の1例

奥田 祐亮1, 田中 雄悟1, 清水 奈保子1, 小川 裕行1, 法華 大助1, 眞庭 謙昌1
1神戸大学大学院医学研究科外科学講座呼吸器外科学分野

背景.大細胞神経内分泌癌は原発性肺癌において比較的少ない組織型であり,肺癌が扁桃転移を来す例は非常に稀である.症例.52歳男性.1か月続く咽頭痛を認め,近医より精査目的で当院へ紹介となった.耳鼻科での精査の結果,中咽頭癌(右口蓋扁桃,低分化癌,cT2N2b)と診断された.遠隔転移検索目的のPET/CTにて右上葉にbulla壁に接する約20 mmの結節を認め,原発性肺癌との重複癌が考えられたが,生検困難な位置であった.嚥下障害を認めたため,咽頭に対し治療を優先する方針となった.化学放射線療法が行われた後に,右上葉結節に対し手術目的に当科紹介となった.胸腔鏡下右上葉切除術および縦隔リンパ節郭清を施行した.病理組織診断にて,大細胞神経内分泌癌の診断となり,咽頭生検組織に免疫染色を加えて検討を行ったところ,肺と同様の染色パターンを示し,肺癌の扁桃転移と判断した.咽頭治療後より1年6か月現在,新規病変の出現は認めず,追加治療を行うことなく無増悪生存中である.結論.肺大細胞神経内分泌癌の扁桃転移を経験した.原発性肺癌と中咽頭癌の重複癌と考え原発巣および転移巣を治療したことにより,比較的良好な経過を得た.
索引用語:肺癌, 大細胞神経内分泌癌, 扁桃転移

受付日:2016年2月16日
受理日:2016年12月13日

肺癌 57 (1):41─45,2017

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