タイトル
第57巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

免疫療法(PD-1,PD-L1抗体)の現状に関して

西川 晋吾1, 西尾 誠人1
1公益財団法人がん研究会有明病院呼吸器内科

背景.原発性肺癌は現在でも予後不良な疾患であるが,免疫チェックポイント阻害剤であるPD-1/PD-L1抗体の登場により,治療戦略に大きな変化が起きている.所見.がん免疫はT細胞が主な役割を担うが,T細胞上のPD-1と腫瘍細胞のPD-L1が結合することでこの免疫反応は抑制される.免疫チェックポイント阻害剤は,PD-1/PD-L1結合を阻害する抗体であり,抑制されたがん免疫の再活性化をもたらす.PD-1抗体のNivolumabは,扁平上皮癌,非扁平上皮癌に対する2次治療におけるDocetaxelとの第III相試験で生存期間延長効果を認め,本邦で最初に臨床導入された.Pembrolizumabは同様に2次治療においてDocetaxelに対して生存の優越性を示し,さらに1次治療において,PD-L1が50%以上高発現を認める進行期非小細胞肺癌においてプラチナ併用療法と比較してPFSのみならずOSの延長まで示された.AtezolizumabやDurvalumab,AvelumabといったPD-L1抗体についても,現在多くの臨床試験が進行中である.結論.肺癌に対するPD-1抗体薬が2次治療および1次治療の標準治療の1つとなった.しかし,治療効果が予測できるバイオマーカーが必要である.
索引用語:原発性肺癌, PD-1, PD-L1, Nivolumab, Pembrolizumab

肺癌 57 (2):75─80,2017

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