タイトル
第57巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

侵襲性肺炎球菌感染症のために死亡した小細胞肺癌の1例

矢島 剛洋1, 神宮 大輔1, 生方 智1, 渡辺 洋1
1宮城厚生協会坂総合病院呼吸器内科

背景.進展型小細胞肺癌の化学療法中に,侵襲性肺炎球菌感染症のために死亡した1例を経験したので報告する.症例.65歳男性,進展型小細胞肺癌cT1bN3M1b(OSS,HEP),cStage IVと診断された.これまでCDDP+ETPによる一次治療,AMR単剤による二次治療,CPT-11単剤(80 mg/m2,Day 1,8,15)による三次治療を施行していた.三次治療2コース目Day 27から発熱,膿性痰があり,右下葉肺炎で入院した.喀痰と血液からペニシリン感受性の肺炎球菌が分離され,侵襲性肺炎球菌感染症の診断となった.急速に呼吸状態が悪化し,入院当日に挿管・人工呼吸器管理となった.急性腎不全や敗血症性ショックなどを呈し,集中治療の甲斐なく,入院後第9病日に死亡した.本症例は,肺炎球菌ワクチンが未接種であった.結論.化学療法を施行している症例では,過密な治療スケジュールのためワクチン接種のタイミングを逃すことは多い.化学療法施行中であっても肺炎球菌ワクチン未接種であれば,積極的に接種すべきである.
索引用語:肺癌, 侵襲性肺炎球菌感染症, 肺炎球菌性肺炎, 肺炎球菌ワクチン, 化学療法

受付日:2016年9月24日
受理日:2017年1月4日

肺癌 57 (2):102─106,2017

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