タイトル
第57巻第2号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

臼田 実男
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器外科学分野

“肺癌”57巻2号を皆様にお届けいたします.本号では,日本肺癌学会肺がん検診委員会報告,総説3報,原著2報,症例4報を掲載しております.外科,内科,放射線科,病理医を問わず,肺癌診療に携わるものとして肺癌に関して多くの最新のデータを入手することは非常に重要です.肺癌制圧を目指して診療にあたるために,幅広い知識に基づいて患者さんにわかり安く説明し,実践していくことが求められています.ネット社会では,「肺がん」に関わる様々な情報が氾濫し,正しい情報ばかりでなくいわゆるfakeな,ガセ情報も巷では溢れています.肺がん患者さんに対して誠実な姿勢で向き合うためには,外科療法や薬物療法に関する知識だけでなく「肺がん」を総合的に科学する知識をある程度習得する必要があります.総説の充実を図り,肺がん診療に関する最新情報をわかり安く,若手からベテランにいたるまで多くの学会員に紹介し,肺がん診療の精度向上を目指していくことは,学会誌「肺癌」の重要な役割の1つでもあります.肺がん検診委員会報告では,推奨されるデジタル撮影機器,画像処理法,読影葉モニタ条件など紹介されています.総説として,最新のEGFR-TKIに関する最新情報や免疫療法(PD-1,PD-L1抗体)の現状について非常にわかり安く紹介されており,多くの皆様の知識の整理に大変有用であると期待しております.原著として「5年以上生存したIV期非小細胞肺癌症例の検討」が掲載されております.このような症例の集積は,「肺がん治療」に対する大きな転換を今後もたらす可能性を秘めていると考えます.症例報告の4例について,将来,類似した症例を経験した際に貴重な情報源として役立つと期待しています.本号に掲載された内容が,会員の皆様の診療,研究,教育に少しでもお役に立てればと期待しております.稿を終えるにあたり.査読を担当していただいた先生方にあらためて御礼申し上げます.

肺癌 57 (2):159─159,2017

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