タイトル
第57巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

肺癌TNM分類ver. 8に関して

中島 淳1
1東京大学大学院医学系研究科呼吸器外科学

肺癌TNM分類ver. 8について概説する.国際的なTNM分類は国際対がん連合(UICC)が策定・改訂し,原発性肺癌には2017年1月から改訂第8版が適用された.日本肺癌学会編集「肺癌取扱い規約」に定められたTNM分類はUICCのそれと同一であり,UICC-TNMの改訂に合わせて第8版が出版された.UICC-TNM分類は世界肺癌学会(IASLC)のデータベースを解析して作成された.第7版から第8版への変更点の要約は以下の通りである:T分類では最大径の分類基準が細分化され1,2,3,4,5,7 cmとなった.またCT上すりガラス状陰影を呈する肺癌については,最大径を病変全体径ではなく充実成分径(≒浸潤性増殖部の径)で表すこととした.N分類は変更されなかった.M分類では第7版のM1b分類が二分され,胸腔外の1臓器単発転移はM1b,多発転移はM1cと改まった.病期ではIA期がIA1,IA2,IA3期に分かれ,新たにIIIC期が設けられ,IV期がIVA,IVB期に分けられた.TNMと病期の対応も多少変更された.以上の変更について解説し,さらに問題点・今後の展望について述べる.
索引用語:原発性肺癌, 病期分類, TNM分類, 肺癌取扱い規約, UICC

肺癌 57 (3):159─166,2017

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