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第57巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

N2非小細胞肺癌の治療方針と今後の臨床研究の展望

堀之内 秀仁1
1国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院呼吸器内科

非小細胞肺癌のうち,縦隔リンパ節転移を伴う患者集団がN2非小細胞肺癌とされている.放射線療法,化学療法が確立される以前,縦隔リンパ節転移含め完全切除可能な場合には,N2非小細胞肺癌に対しても手術が幅広く実施されていた.その後,根治的放射線療法,逐次化学放射線療法,同時化学放射線療法が確立され,手術なしでも一定の割合で根治を目指すことができるようになってきている.ただ,化学療法,放射線療法による成績は,5年生存割合で15%から20%程度で停滞しており,さらに高い根治率は達成できていない.そのようななか,長年,局所治療の強化,全身治療の強化の両面から新たな治療法が模索されてきた.具体的には,高線量化学放射線療法,新しい化学療法薬(ペメトレキセド,S-1),化学放射線療法に加えてEGFR抗体のセツキシマブの追加,MUC1ペプチドワクチンのTecemotideの追加などが試みられてきた.このような治療内容の改善に加え,原発巣と縦隔リンパ節転移の解剖学的な位置関係でN2非小細胞肺癌を分類し,治療を個別化することも試みられている.本稿では,過去から未来へと続くN2非小細胞肺癌の治療開発について概論したい.
索引用語:N2非小細胞肺癌, 手術, 放射線療法, 化学療法, 集学的治療

肺癌 57 (3):167─174,2017

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