タイトル
第57巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

セリチニブのALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌患者におけるアレクチニブ治療後の有効性検討―国内及び海外第I相試験―

豊川 剛二1, 村上 晴泰2, 徳茂 広太3, 波多野 弁3, 西尾 誠人4
1九州大学大学院消化器・総合外科, 2静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科, 3ノバルティスファーマ株式会社オンコロジー開発・メディカルアフェアーズ統括部, 4がん研究会有明病院呼吸器センター

目的.アレクチニブを含むALK阻害剤(ALKi)前治療歴のあるALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌(ALK+NSCLC)患者の,セリチニブでの有効性検討.研究計画.国内第I相試験でALK+NSCLC患者のセリチニブの安全性と有効性,及び国内第I相試験と海外第I相試験(ASCEND-1)におけるアレクチニブ既治療例のセリチニブの有効性を検討した.結果.国内第I相試験でのセリチニブの主な重篤な有害事象はALT増加で,最大耐容量/推奨用量である750 mg/日の奏効率は37.5%(3/8例),病勢コントロール率は75.0%(6/8例)であった.全用量のALKi既治療例における奏効率は52.9%(9/17例,すべてPR)で,奏効例のPFSは4.2ヵ月以上であった.PRを確認した9例中3例でセリチニブ投与前のALK二次変異が特定された(L1196M,I1171,I1171T).国内第I相試験とASCEND-1でアレクチニブ既治療例の41.7%(5/12例)がPRであった.結論.セリチニブはアレクチニブ前治療歴のあるALK+NSCLC患者でも有効性を示し,新たな治療選択肢となる可能性がある.
索引用語:セリチニブ, ALK融合遺伝子, 非小細胞肺癌, ALK二次変異, アレクチニブ既治療例

受付日:2017年1月16日
受理日:2017年3月24日

肺癌 57 (3):175─183,2017

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