タイトル
第57巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺原発mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫を合併した原発性肺癌の1切除例

小野寺 賢1, 佐藤 伸之1, 阿部 皓太郎1, 黒滝 日出一2, 板橋 智映子3
青森県立中央病院 1呼吸器外科, 2病理部, 3弘前大学分子病態病理学講座

背景.肺原発MALTリンパ腫は,肺原発腫瘍全体の0.5%以下と比較的まれな腫瘍である.症例.66歳,女性.咳嗽,発熱を主訴に受診.胸部CTで左肺下葉に腫瘍,左肺門に腫大したリンパ節を認めた.また,右肺中葉,左肺舌区に内部に拡張した気管支を伴うconsolidationを認めた.経気管支肺生検で左肺結節が腺癌の診断となり,cT1bN1M0,stage IIAの肺癌に対して手術を施行.左肺下葉切除術+リンパ節郭清を施行し,左肺舌区の気管支拡張症が疑われる部位も同時に切除した.術後の病理検査で左肺下葉の病変は腺房型腺癌,pT1aN1M0,stage IIAの診断,左肺舌区の病変はMALTリンパ腫の診断となった.術後右肺中葉の病変に対して経気管支肺生検を施行したものの病理組織診ではリンパ腫を疑う所見は認めず,現在経過観察中である.結論.肺癌手術時の標本で合併が確認された肺原発MALTリンパ腫を経験した.
索引用語:肺癌, MALTリンパ腫, BALT

受付日:2016年12月5日
受理日:2017年3月3日

肺癌 57 (3):196─200,2017

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