第57巻第3号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
左上下葉間にまたがり存在した肺腺癌の1例
深井 隆太1, 杉本 栄康2, 武田 宏太郎3, 工藤 まどか3, 手島 伸一3, 増永 敦子4湘南鎌倉総合病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理診断部, 4東京女子医科大学八千代医療センター病理診断科
背景.現在肺癌に対する標準術式は肺葉切除および肺門・縦隔リンパ節郭清であるが,葉間部を中心に両葉に存在する肺癌に対する術式は定まっていない.症例.73歳,女性.動悸,息切れのために施行した胸部CTで異常影を指摘され,気管支鏡検査で異型腺腫様過形成(肺癌否定できず)の診断であった.病変は左S1+2とS6に葉間部をまたいで存在しており,1秒量1.47 lを考慮して胸腔鏡下S1+2およびS6区域切除を施行した.病理検査で病変は肺腺癌であり,癌は胸膜途絶(葉間不全分葉)部から連続性に他肺葉に進展していた.術後2年再発を認めていない.結語.葉間部に存在する肺癌において,区域切除は選択肢の一つになり得ると思われた.
索引用語:肺癌, 葉間胸膜, 葉間胸膜浸潤, 不全分葉, 区域切除
受付日:2016年9月23日
受理日:2017年3月6日
肺癌 57 (3):201─204,2017