タイトル
第57巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ニボルマブによる治療後にACTH欠損による二次性副腎皮質機能低下症を発症した1症例

西條 天基1, 田中 彰彦1, 伊藤 哲思2, 池田 徳彦3
戸田中央総合病院 1一般内科, 2呼吸器外科, 3東京医科大学病院呼吸器・甲状腺外科学分野

背景.ニボルマブは免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体であり,進行再発非小細胞肺がんに対する二次治療の標準治療の一つと考えられている.抗PD-1抗体による治療成績向上が期待される一方,自己免疫関連有害事象(irAE)が経験されている.ニボルマブ治療後にACTH欠損による二次性副腎皮質機能低下症を発症した症例を経験したので,報告する.症例.65歳男性,喫煙者.肺扁平上皮癌,IIIB期.二次治療としてニボルマブによる治療を開始.腫瘍縮小効果は良好であった.12コース実施後から食欲不振,全身倦怠感,低血圧(収縮期血圧90 mmHg台),1か月で約8 kgの体重減少を認めたため精査開始.血清コルチゾール値低値,ACTH低値であったため,ACTH欠損による副腎皮質機能不全と診断された.ステロイド補充療法開始後,収縮期血圧は120 mmHg台に改善,経口摂取良好となり全身倦怠感は消失した.結論.非小細胞肺がんに対するニボルマブ治療後に発症したACTH欠損による二次性副腎皮質機能低下症の報告は,国際的にも初である.免疫チェックポイント阻害薬に伴うirAEは多様で予測が困難であるため,安全管理と早期発見が重要である.
索引用語:ニボルマブ, 非小細胞肺がん, 自己免疫関連有害事象, ACTH欠損症, 副腎皮質機能低下症

受付日:2017年2月22日
受理日:2017年4月10日

肺癌 57 (3):226─231,2017

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