タイトル
第57巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

局所麻酔下胸腔鏡を用いて診断しえた偽中皮腫性肺癌の1例

山入 和志1, 高木 康裕1, 呉家 圭祐1, 洲鎌 芳美1, 白石 訓1
1大阪市立十三市民病院呼吸器内科

背景.胸膜中皮腫と類似した疾患に偽中皮腫性肺癌(pseudomesotheliomatous carcinoma of the lung:PMCL)がある.偽中皮腫性肺癌は臓側胸膜と壁側胸膜へのびまん性浸潤を特徴とし,組織学的には末梢性肺癌であるものと定義されている.症例.62歳,男性.右胸痛を自覚して近医を受診したところ,胸部X線検査で右胸水貯留を指摘され,精査加療目的で当院へ紹介受診となった.胸部CT検査で肺内病変はみられず,右側にびまん性の胸膜肥厚が認められた.局所麻酔下胸腔鏡検査により胸膜生検を行い,肺腺癌(cTXN0M1a:stage IV)と診断した.カルボプラチン,ペメトレキセド,ベバシズマブの3剤による化学療法を開始した.3コースを終了した時点まで病勢のコントロールは可能であったが,その後に病勢が悪化し,診断より約7カ月の経過で腫瘍の進行により死亡に至った.結論.今回我々は,局所麻酔下胸腔鏡検査を用いて診断しえた偽中皮腫性肺癌の1例を経験した.肺内の原発巣が不明な悪性胸水の症例では,偽中皮腫性肺癌を鑑別に挙げ,正確な診断を下すことが重要である.
索引用語:偽中皮腫性肺癌, 胸膜中皮腫, 局所麻酔下胸腔鏡, 免疫組織学的検査

受付日:2016年12月21日
受理日:2017年4月12日

肺癌 57 (4):286─291,2017

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