タイトル
第57巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

Carcinoma Showing Thymus-like Differentiation(CASTLE)の縦隔転移の1例

鮫島 譲司1, 鈴木 理樹2, 横瀬 智之2, 伊藤 宏之1, 中山 治彦1, 益田 宗孝3
神奈川県立がんセンター 1呼吸器外科, 2病理診断科, 3横浜市立大学外科治療学

背景.Carcinoma Showing Thymus-like Differentiation(CASTLE)は,甲状腺内の異所性胸腺組織または胎生期遺残組織から発生すると考えられる非常に稀な低悪性度腫瘍であり,進行は緩徐で予後は比較的良好とされる.症例.75歳男性.7年前に甲状腺左葉切除を施行し,甲状腺未分化癌と診断.術後外照射および化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)後,経過観察していた.術後7年目のCTで前縦隔に14 mmの小結節を指摘されたが,甲状腺近傍に局所再発は認めなかった.胸腺腫もしくは甲状腺腫瘍再発を疑い,胸腔鏡下縦隔腫瘍切除を施行した.縦隔腫瘍は扁平上皮分化を伴う癌の所見で,既往の甲状腺切除標本を再検討したところ,両者の組織像は類似していた.免疫組織学的にはCD5一部陽性,CD117陽性であった.以上から甲状腺の病変はCASTLEと診断し,縦隔腫瘍はCASTLEの縦隔転移の可能性が最も考えられた.結論.CASTLEは稀な腫瘍であり甲状腺未分化癌などとの鑑別で問題となるが,腫瘍の広がりや組織所見に加え免疫組織化学的所見などと合わせて慎重に検討する必要がある.
索引用語:転移, 縦隔, 甲状腺, 胸腺

受付日:2017年3月14日
受理日:2017年4月14日

肺癌 57 (4):292─298,2017

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